国立歴史博物館
「国立歴史博物館」は、フランス統治時代の19世紀にはじめてハノイ市がフランスに土地を譲渡した場所でも知られています。
フランスはこの建物を領事館として30年使っていたので、ご覧のとおり館内はシャンデリアがつるされているような西洋風です。
市民劇場のすぐ近くにあり、ハンキエム湖から徒歩で約10分~15分程度。
近くにはもう一つ国立歴史博物館がありますので、そちらも併せて見学してください。
国立歴史博物館
ベトナムの博物館といえば、たいていが抗仏戦争、ベトナム戦争、ホーチミン革命家をコンセプトとしたものですが、こちらの博物館はあくまでも歴史博物館となっています。
ベトナムの先史時代から近代の歴史を追うことができるので、単純にベトナムの歴史をおおざっぱに知りたい方におすすめ。
もちろん戦争関連もありますが、ナイーブになるものはないので、ベトナム戦争や歴史に興味がない方でも、観光名所の一端として立ち寄ってみるのはいかがでしょうか。
館内は2階建てで、1階は主に旧石器時代から青銅器時代、レ朝、李朝時代の発掘品が展示されています。
どれも考古学的見地から非常に貴重な品々なので、ショーケースに綺麗に並んでいます。
ベトナムは古くから青銅文化があったという説が有力です。
歴史をさかのぼれば紀元前4世紀から1世紀ころに発達したドンソン文化と呼ばれる時代が始まりとされています。
もちろんこの時代に文字はないので、どれも発掘品を調査することによって得られる知識だけにほかなりません。現に、学者の中には青銅文化はそれほど発達しておらず、この時代の貴金属品のほとんどは中国のものではないか、という人もいます。
刺繍、木彫り、陶磁器とベトナムは中国に朝貢していた時代がありましたが、どれもすぐに中国の技術がベトナムを超えてしまっていた背景もありますので、青銅もも似たようなことかもしれませんね
チャンパ時代の産物も
こちらはご存知の方も多いかと思いますが、ヒンドゥー教シヴァ派でおなじみのモニュメントである「リンガ」。
いわゆる男性器となります。
一般にはこの男性器は破壊の神であるシヴァ神のものであると言われています。
現在では触れると子宝に恵まれるといわれていて、インドネシアを中心に厚く信仰されています。
ベトナムではヒンドゥー教は布教しなく、大部分が仏教とフランス人にもたらされたキリスト教となります。
しかし、一部ではヒンドゥー教が浸透しました。
それがチャンパ王国です。
チャンパ王国
こちらに展示されている品々はチャンパ王国の遺跡から発掘されたもの。
チャンパ王国は19世紀中ごろまで栄えた、中部以南沿岸地域に発展した独立海洋国家です。
インド、カンボジアの国々を起源としているようですが、詳しいことはよくわかっていません。
現在では子孫のチァム族が中南部ニャチャンやムイネー、メコンデルタのチャウドックなどに分布していますが、チャウドックのチャム族はイスラム信仰をしています。
チャンパ王国はベトナムでも珍しいヒンドゥー教信仰で、現在でも遺跡が数多く発見されています。
有名どころでいえば、中部のミーソン遺跡。
世界遺産にもなっています。
なかなかエスニック要素を感じられる出土品が多数展示されているので、是非お楽しみください!
名称:国立歴史博物館
住所:1 Trang Tien St. Hanoi
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